- 『多眼思考 ~モノゴトの見方を変える300の言葉~』
- 『京都ゲストハウス案内』
- 『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』
- 『トルコで私も考えた』
- 『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』
- 『10代のモヤモヤに答えてみた。―思春期サバイバル〈2〉Q&A編』
- 『0円で空き家をもらって東京脱出!』
- 『ゲイカップルに萌えたら迷惑ですか? 聞きたい! けど聞けない! LGBTsのこと』
『多眼思考 ~モノゴトの見方を変える300の言葉~』
ちきりんさんのTwitterアカウント(@InsideCHIKIRIN)の2万7千ツイートの中から厳選されたツイートが載っています。
ツイート一つ一つを(軽く)噛み締めても、さらっと読めるボリュームです。
特に気に入ったものを紹介。
愛する人が存在してると、生きる意味とかを問う必要がないのでとても楽です。
人生の時間のどれくらいを誰と共有するかは、人生がどんなもんになるかを、ほぼ規定する。
さっきのは、別に結婚相手ということだけじゃなく、どんな人と仕事するか、どんな人と食事するか、どんな人と飲みに行くか、とか全部だよ。「誰と時間を過ごすのか」は、「何をするか」とほぼ同等(もしかしたらそれ以上)に大事。
あたしは自分が武士階級に生まれていても、明治維新にわくわくしたと思う。変化こそが未来を感じさせる。
変化が嫌いな人ってさ、過去に生きてる人なんだよね。
『京都ゲストハウス案内』
京都にあるゲストハウス60軒を文字と写真で、見開きで紹介しています。フルカラー。
料金やゲストハウスまでのアクセス、キッチンや洗濯機の有無などの基本情報だけでなく、門限や消灯の有無といった細かい情報まで載っています。
「東山周辺」「中心部」「京都駅周辺」など、大きめの地図に周辺のゲストハウスが表示されている手法も分かりやすい。
私が気になったのは、「"宿が生きがい"と語る女将が40年続ける元祖ゲストハウス」と紹介されていた「和風ゲストハウス タニハウス(本書P.48)」。
『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』
日本に留学しているスウェーデン人のオーサ(漫画家)が見た日本を4コマ漫画で紹介。
「他人から見た自分」を知るのと同じように、「外国人から見た日本人」を知るのもまた面白いです。
スウェーデンの文化を知ることもできます。ハグする文化、良いですね!
日本人の友人「ねね 日本人の最大の特徴って何だと思う?」
オーサ「優しい! たまに優しすぎて困るぐらい(中略)
たとえば…日本語を間違えてても直してくれないとか」
「日本語の改善は、友人になったサインで嬉しいです」
なるほどー。
確かに、とっても仲良くないと間違いを指摘しにくいです。ですが語学を学びたい者としてはやっぱり指摘してほしいものですよね。
なんとオーサさんは『さよならセプテンバー』の作者でした。
絵の雰囲気が全然違うので、『北欧女子オーサ~』を読み始めるまで気が付きませんでした。
『トルコで私も考えた』
トルコ生活ルポ漫画。作者はトルコに住んでいる日本人です。
最初は旅行で行っていたのが、その後トルコ語の語学留学でトルコに住むことになり、最終的にはトルコ人の夫と結婚してトルコで生活することに。
トルコ愛に溢れており、読んでいるとトルコに行きたくなる一冊。
吹き出し外の文字が多く、ものすごい情報量でトルコの文化に触れることができます。
トルコ語と日本語の文法はとても似ていて、習得しやすいらしい。トルコ語が気になります。
『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』
認知特性には視覚優位、聴覚優位、言語優位があり、さらにそれぞれが2つずつに分けられます。
「自宅に人を招くとき、道順をどうやって説明しますか?」「初めて聞いた曲を、すぐに口ずさめますか?」といった35の質問に答えることで、自分は認知特性が優位なのかが分かります。
問いのなかに私があまりやらないこと(例えば物件探しや名刺交換など)があり、想像で答えたので正確に答えが出たのかどうかは自信がありませんが…
テストの結果、私は「<視覚優位者> 写真(カメラアイ)タイプ」「<言語優位者> 言語抽象タイプ」が特化しているようです。他の4つの認知特性は残念ながら平均以下でした。
特に聴覚についての認知特性はどれも低い数値でした。私が人の言葉を聞き取りにくいのも、ここから来ていると思うとすこし安心しました。
そして2つ以上の高い認知特性を持つ人のなかには「頭のいい人」が多いそうです。例えば視覚優位者でさらに言語優位者であれば、豊かにイメージし、それを言葉でうまく表現することができるからです。
認知特性は生まれながらの特性のようですが、大人になってからでも高いモチベーションがあれば鍛えられるものだそうです。
また、本書では6つの認知特性以外に、柔軟性や社会性、時間感覚など人間が持っている能力についても説明がありました。
「頭がいい人」になるために、自分の能力の得意不得意をしっかりと認識し、得意な能力をさらに伸ばしていきましょう。
何かができないとき、自分の能力の何が弱いのか、強いのかを、ぜひ分析してみてください。自分の得意な能力、不得意な能力を知ることが、自分の能力を最大限に発揮するためには必要なのです。
『10代のモヤモヤに答えてみた。―思春期サバイバル〈2〉Q&A編』
10代のころに読みたかったです。
私が中学生のころ、セクシュアルマイノリティに関しては今より情報が少なくて(もっと昔よりは随分マシだけれど)、主に2ちゃんねるで情報収集をしていました。それに、自分の周りに同じモヤモヤを抱えている人なんていないと思っていました。
セクシュアルマイノリティについてはまだまだ認知されていないことが多いですが、少しずつ良い時代になってきていると思います。
こちらは「セクシュアルマイノリティに関する本!」というわけではないため手に取りやすいので、学校の図書館にあったらいいなーと思います。
思春期の人のほとんどは過酷なサバイバルをしているといっても過言ではないでしょう。たとえ当事者(思春期の10代)が周りを見渡して自分以外はそう見えなかったとしても。こういった本がサバイバー達の手に渡り、彼らの助けになってほしいです。
『0円で空き家をもらって東京脱出!』
タイトル通り、0円で空き家をもらって東京から広島は尾道に移住した著者のルポ漫画。
漫画家である著者は東京の安アパートで、「このままでいいのかな…」と悶々とする日々を送っていましたが、尾道へ移住してからはどんどん生活が変わっていきました。
ただの移住者→卓球場の経営者→ゲストハウス『あなごのねどこ』設計・デザイン兼工事のメンバー→『あなのねどこ』店長→自分のお店をオープン、とまるで漫画のような展開をしました。
著者がもらった空き家の改修などを手伝ってくれたNPO法人「尾道空き家再生プロジェクト(通称空きP)」の存在も大きいです。
ものすごい行動力と決断力を持つ「空きP」のTさんにそそのかされ(?)、著者はどんどんチャレンジしていきました。
そして一大イベントであったゲストハウス設立が一旦落ち着いたあと、「とにかくなんか作りたい激しい作業衝動」に襲われます。腰を痛めてできてしまったモラトリアム期間に、著者は自分の店を持ちたいと思うように。そして実際にオープンしてしまうのだからすごいです。
やりたいと思ったことが実現できる、そして面白いことがしたいという人が周りにたくさんいるのはとてもいい環境だと思います。尾道では、著者は全く退屈することのない生活を送ったことでしょう。
もし「住む場所」とあなたの「居場所」がズレているように感じたら 地理的に場所を変えてみるのも手だと思います
心の問題ではなかったということです 僕の場合は――
自分で自分の生える地面を変えたら前よりは多少茂った……という物理現象みたいな
これは同感。
別にしっかり移住せずとも、ゲストハウスに短期で住んでみたり、旅や住み込みバイトなんかでもいいので場所を変えると新たな出会いや発見があるのでおすすめです。
『ゲイカップルに萌えたら迷惑ですか? 聞きたい! けど聞けない! LGBTsのこと』
タイトルの「ゲイカップルに萌えたら迷惑ですか?」というのは本書の第1章「LGBTsにまつわるQ&A」にある質問の一つです。人目を引くタイトルではありますが、どちらかというと本書の内容は「聞きたい! けど聞けない! LGBTsのこと」です。
各章のタイトルは以下のようになっています。
- 1章:"LGBTs"さんと一緒に考える、LGBTsにまつわるQ&A
- 2章:LGBTと言葉の歴史を見てみよう!
- 3章:今さら聞けない ジェンダー&セクシュアリティ用語集
- 4章:LGBTってなんだろう?
第2章では「LGBTと言葉の歴史」について、漫画と年表を使って分かりやすく書かれていて勉強になりました。
「LGBT」と「LGBTs」の意味を第3章から引用します。
この4つに入らない人も、また、たとえば同じ「L」とされる人の間でも、本当に人それぞれなのだということを表すために、複数形で「LGBTs(エルジービーティーズ)」とする場合もある
最近、SOGI(ソギ)またはSOGIE(ソギー)という言葉を知りました。それぞれ、
- 「Sexual Orientation and Gender Identity(性的指向*3と性自認*4)」
- 「Sexual Orientation and Gender Identity and Expression(性的指向、性自認と性表現*5)」
の略です。
「人にはそれぞれ性的指向・性自認・性表現(SOGIE)があり、それを尊重し合うべきである」というような発想でこの言葉が作られたそうです。
肝心なのは、社会にある性差別を、誰もが自分のこととして向き合えるかどうかです。「つらいのはLGBTsだけじゃないんだから我慢しろ!」とか「男性だって差別されてるぞ!」みたいな、「どっちが弱者でしょう合戦」をするよりも、「どうしたらよくなっていくかな」って、誰もが自分事として考えられたらいいなって、私は思っています。
LGBTsであるかないかに関わらず、ね。
- SOGIEは個人を構成する一部分でしかなく、「LGBTさんたち」という存在があるわけではない
- LGBTsであってもなくても、同じ人間である
- LGBTsであってもなくても、違う価値観がある
- LGBTsであってもなくても、SOGIEを尊重しよう
ということが本書の要点だったように思います。
私は「LGBTsであってもなくても、SOGIEを尊重しよう」という考え方に諸手を挙げて賛成です。
そしてLGBTという言葉を必要としない社会へ向かっていきたいものです。
余談ですが、私が著者である牧村朝子さんを知ったきっかけはこちらの本。▼
この本に登場する同居人の美少女、というのが牧村朝子さんでした。
よくあるコミックエッセイのように基本的には匿名のような感じで、この本の中でだけ観測できる人物かと思い込んでいたら、ある日 牧村朝子さんのTwitterアカウントを見つけてびっくりしました。なんだか見たことがある名前だなーと思っていたら、もちろんご本人でした。
Wikipediaによると牧村朝子さんはタレントで、分筆家でもあるようです。
LGBTsの方々がそれを公にして活動されていることには本当に勇気づけられています。